ファイナンシャルプランナーの小沢美奈子です。
お金のご相談に乗っていると「夫の給料の額を知らないのですが、これって大丈夫ですか?」というご質問を受けることがあります。
小沢自身の意見を述べる前に、一般的にはどうなのかを確認してみましょう。
お互いの収入について「知らない・わからない人」は6割強
セゾン自動車火災保険株式会社が全国の30代〜50代の男女1,000名(男女500名ずつ)を対象に2021年12月に行った「夫婦間・家族間における、お金の管理」によると、お互いの収入を「すべて知っている人」は35.2%だったそうです。
さらに「一部知らない、わからないことがある人」は55.1%、「お互い1つもわからない人」は9.7%という結果となっています。
つまり、お互いに「知らなかったり、わからなかったりする人」は64.8%いるということですね。
調査結果だけを見ると、「夫の給料の額を知らない」人は珍しくないように見えますし、あまり問題視する必要もなさそうに思えます。
ところが、夫の給料額を知らないことで問題が生じてしまう場合があります。
夫の給料を知らないことによる問題点と心配事
夫の給料を知らないことによる、妻の側から見た問題点や心配事をざっと挙げてみます。
- 貯蓄計画が立てられない
- 夫の金銭感覚が把握できない
- 所得制限のある給付金や支援金を受け取れるのかどうかわからない
- お金の話がしづらくなる
- 夫がお金を使い過ぎているのではないかと心配になる
- 隠れた借金があるのではないかと心配になる
- 隠し事があるのではないかと疑ってしまう
- 妻である私が信頼されていないのだと愕然としてしまう
夫の給料は知っておくに越したことはない
このように夫の給料を知らないと、妻は困り事や心配事が多くなります。
特に困るのは、国や自治体からもらえる、収入制限のあるような助成金や給付金を申請する時だと思います。
給付金を受け取れるか受け取れないかがはっきりしない期間が長くなってしまうことになります。
そんな心配が続くのは嫌ですよね。
また、中には自分の浪費を妻に隠したいがゆえに、妻に自分の給料の額を伝えていない、というケースも実際にあります。
そのようなケースでは、突然「夫の借金が発覚」のようなことが起こってしまうのです。
やはり夫の給料の額は知っておいた方が良いに決まっています。
とはいえ、男性には男性なりのプライドがあって、あえて妻に給料の額を教えていないといったケースもあります。
そんな夫に「あなたの給料の額を教えて!」と詰め寄ったら、夫婦関係が悪くなってしまうでしょう。
優先すべきは夫婦の信頼関係の構築
私自身は、家計が上手く回っていて、かつ夫婦の信頼関係が築けているのなら、お互いの給料の額を知らなくてもさほど気にしなくて良いと思っています。
実際我が家では、夫の給料の額をだいたい把握している一方、夫の方は、妻である私の収入をほとんど知りません。
とはいえ、毎年確定申告が終わると、だいたいの収入を夫に伝えてはいます。
それはなぜかというと、貯蓄計画を立てるために必要な情報だからです。
お互いの収入はある程度知っておくべきというが理想ですが、知らなかったとしても、夫婦で協力しながらお金が貯められているなら問題ない、というのが私自身の考えです。
だからといって
今日いきなり「あなたの給料の額を教えて!」と夫に詰め寄るのは得策ではありません。←実は真面目な妻ほど、やりがち!
まずは価値観を共有させることから始めましょう。
たとえば、教育資金や老後資金、はたまた旅行費用などでもいいと思います。
夫婦で共通の目標を立てます。
その上で、毎月の必要貯蓄額を夫婦で一緒に決めましょう。
信頼関係ができていないと、話がスムーズに進まない場合もあります。
そんな時は、時間をかけてコミュニケーションを取ることを優先してください。
そのような話し合いの中で、お互いの収入を開示していく、という流れの方が自然ではないでしょうか。
まとめ
「夫が給料の額を教えてくれない!」ことばかりを問題視しないようにしたいものです。
大切なのは夫婦で価値観を共有し、力を合わせて家計運営をしていくことです。
その過程で、夫の給料の額を知ることができるかもしれません。
しかし、夫が給料の額を教えてくれないこともあるでしょう。
そこで「教えて!」と詰め寄るのはNG。
たとえそうだったとしても、家計運営に夫が協力してくれればよしとしましょうね。